
女性を対象としている子宮頸がん予防のためのHPVワクチンですが、外国では男性も接種していることを知っていますか?
日本でも男性の接種に向けた動きが加速していきそうです。
HPVワクチンってどんなもの?
現在、子宮頸がんを予防するためにはHPVワクチンの接種と、子宮頸がん検診があります。
HPVとは、ヒトパピローマウイルスのことです。
HPVワクチンは定期接種となっており、小学6年生~高校1年生の女性は公費負担(無料)で接種することができます。
標準的には中学1年生になる年度に、以下の2種類のHPVワクチンから1種類を選んで接種することとなっています。
▼サーバリックス®
・HPV16型、18型の2価ワクチン
・3回接種する(初回接種から1か月後と6か月後)
▼ガーダシル®
・HPV16型、18型と、6型、11型が加わった4価ワクチン
・3回接種する(初回接種から2か月後と6か月後)
感染した場合、子宮頸がんになりやすいと言われるハイリスク型が、HPV16型と18型です。
子宮頸がんの原因のうちHPV16型、18型が約70%を占めています。
HPV6型と11型は低リスク型と言われ、尖圭コンジローマや性器疣贅(ゆうぜい:いぼのこと)の原因になっていることが多いものです。性器疣贅の原因の90%がHPV6型、11型だと言われています。
性器疣贅は一度かかってしまうと治癒しにくく、ごくまれに悪性化することもあります。
男性のHPV感染って?
子宮頸がんは女性にしか起こらない病気です。
しかし、子宮頸がんの原因となっているHPV感染は、男性にも起こる可能性があるのです。
WHOによると、性交経験のある男性の約21%にHPV感染がみられ、陰茎、陰嚢、会陰・肛門周囲の順で感染率が高くなっていたそうです。
また、アフリカ人男性が最も高い感染率で、アジアと太平洋領域では最も低い感染率という結果でした。
HPVの型としては16型、52型が多く、低リスクHPVでは6型が多かったと報告されています。
男性の場合、HPVの感染によって肛門がんや咽頭がんを発症する可能性があります。
HPV感染は、男性にも無視できない問題となっています。
子宮頸がんワクチンはがんを予防するためのもの。
でも、もしもがんになってしまったら?
男性にもぜひ読んでほしい漫画です。
海外では?これからどうなるの?
2017年の時点で、71か国(世界の37%)が国家プロジェクトとして女児に対するワクチン接種を行っています。
11か国(6%)では、男児に対してもワクチンを接種するよう推進しています。
さらに、接種可能なワクチンは2価・4価に加え、9価も選択できるようになっています。
9価ワクチンの場合、HPV16型、18型、6型、11型に加え、31型、33型、45型、52型、58型が網羅されています。
これらの9つのHPVの型は、感染の原因の90%以上を占めていると考えられています。
言い換えると、9価ワクチンを接種できれば、HPVに感染する確率を10分の1にできるということです。
日本ではワクチンの副反応に対する過剰な報道がなされたこともあり、定期接種にはなっているものの、国家レベルで接種を促しているとは言い難い状況になっています。
これらの状況を踏まえ、今後は男性への接種も勧められる方針となっています。
小学6年生~高校1年生の女性であれば公費で受けられるHPVワクチンですが、それ以外の方が接種しようとすると15,000~20,000(円)×3(回)で60,000円前後の出費となっています。
同じ年代の男性や、接種していない女性も費用負担なく受けられるようなり、HPV感染から身を守っていける社会を作っていきたいですね。
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参照
リーフレット「HPV ワクチンの接種に当たって医療従事者の方へ」参考資料
薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事要旨及びWeb会議議事録